診断
馬鹿な医者の「何も異常ありません」は診断出来ていない証拠
今回は、みなさんにぜひ読んでいただきたい内容です。
先日、職員が夜から腹痛に見舞われ、悶絶打つくらい痛くて翌朝までどうしても我慢できず、夜中に救急病院を受診しました。
血液検査、腹部CTを取って、3-4年目くらいのスーパーローテート上がりの医師が、CTを上から下まで丁寧に説明してくれて、最後に
「大丈夫です。異常ありません」
翌朝私に報告してくれました。
「で、診断は?」
「異常ないそうです」
「痛くて痛くて、朝まで我慢できなかったんだろ?診断は?」
「わかりません。異常ないそうです」
アホです、診察した医者は。
詳細を聞くと
②腹痛がひどいことを最初に対応したナースに告げた。
③ナースがドクターに報告にいった。
④血液検査と腹部CTを先に検査した
⑤小一時間して呼ばれて、説明を受けた。
「白血球もCRPも上がっていません。腹部CTでも異常はありません」
お金払う必要、無いんじゃないか?ってくらいアホです。
②診察より前にいきなり検査の指示を出した
③最終診断を出せない
はい。以上。いや、異常だな、こんな診断。
異常では話にならないので、一つずつ説明します。
①腹痛患者を前にして腹部所見をとらない
実はこんな医者は非常に多いです。
咳で受診していて聴診器も当てない医者さえいます。
例えば、風邪で受診して、
「頭痛、発熱、咳、倦怠感。あっ、ちょっとおなかも痛いです」
すると医者は聴診器を当てて、
「風邪ですね」
いやいや、あんたおなか触ってないだろ?
診断は、一元論が基本です。
頭痛、発熱、咳、倦怠感、腹痛の場合
頭痛⇒片頭痛
発熱⇒膠原病
咳⇒気管支炎
倦怠感⇒うつ病
腹痛⇒急性胃腸炎
なんて診断するバカはいません。全部の症状を引き起こす可能性のある病気をまずは考えます。そうすると、まずは風邪でしょう(風邪ってのは診断名ではありませんが)。それ以外にもいくつか上がります。
他の可能性も考える、そのなかで、一つの病気で全部の症状が説明できるものを第一に診断名と考える、それが一元論です。
しかし、その一元論を確かめるために、腹部所見も含めて全部の症状の所見をしっかりとるべきです。
②診察より前にいきなり検査の指示だし
実はこれ、救急の現場に多いです。忙しいあまり、ナースの問診(情報)から、とりあえず先に検査をしておく。
だめです、こんな雑な診断・診察は。
まあ、救急の医者は、医者の中でも一番レベルの低い人間だから仕方だ無いが。
まずは診察をして、診断のあたりをつける。
その時3つくらいは鑑別診断も上げて、その診断を除外する必要があれば、必要な検査をする。
小さい子供は、胃が張っていることを
「吐き気がします、胃が張っています」
と言えないことが多く、単に
「おなかが痛い」
と表現することがあります。では、こんなプロセス(診察せずいきなり検査)なら、おなかが張っている小児は全員血液検査とCTを撮ってしまうのでしょう。
救急の医師はやっつけ仕事で、非常に診察が雑です。所見をおろそかにして、やたらと検査をして、その検査に対しての一問一答の診断に頼ります。
彼ら、検査ができない現場に派遣されたら、失神するかもしれません。
救急医は手術も非常に雑で、消化器を専門として修練した5年目くらいの医者が救急センターに数年派遣されたりすると、もちろん、そのセンターでは一番手術がうまい、という状況になってしまうのが、この日本の救急センターの現状です。
③最終診断を出さない(出せない)
これは一般診療でも多々あります。
「熱と咳があります。体もだるいです」
「胸の音を聴きます。------はい、ではお薬を出しておきます」
って、診断はなんだ?
「大丈夫です」
「異常ありません」
「お薬を出しておきます」
は診断ではありませんよ、みなさん。
診察を受けるまえにいきなり
と言われたら、
「何を疑っての検査ですか?」
と勇気を出して聞いてみましょう。
診察と検査が終わって、
「大丈夫です」
「異常ありません」
いきなり
「お薬を出しておきましょう」
とぜひ聞いてください。